事務所から児童福祉施設への用途変更

2018|用途変更・適法化改修事例|Miyagi,Japan

事務所用途であった既存建物において放課後等デイサービスの事業所を開設するため、事務所から児童福祉施設への用途変更を行ったプロジェクト。
テナントである事業者から、放課後等デイサービス事業の開業の認可を取得するために用途変更の確認申請を行いたいとの相談を受けましたが、この物件は確認申請書、確認済証、検査済証は残っていたものの、確認申請時の図面が残っていませんでした。そこで、行政と協議の上調査により図面を復元し、現況建物の事務所としての適法性を確認した上で、児童福祉施設に求められる防火区画や避難規定を満たすことができるよう改修設計を行い、用途変更を実現しました。

用途変更の確認申請と聞いて「建物の用途を変えるのに手続きが要るの?」と思う方も多いかもしれませんが、変更後の用途が「特殊建築物」になり、かつ、変更後の面積が200m2(令和元年の法改正により、用途変更の確認申請が必要となる規模が100m2から200m2に見直されました)を超える場合は、確認申請の手続きが必要なのです。
「とはいえ用途を変えるだけなんだし、大して大変でもないのでは?」と思われるかもしれませんが、特殊建築物とそれ以外の建物では建築基準法で求められる仕様や性能が違ってきますし、それ以外に建築基準関連規定や地方自治体の条例にも適合させる必要が生じます(消防法やバリアフリー関係、地区計画など、それぞれ手続きが必要です)。そのため用途変更の内容によっては、大掛かりな改修工事が必要となってしまったり、そもそも用途変更が不可能な場合もあり得るのです。

このプロジェクトでは検査済証が取得されていましたが、用途変更や増築等をしようとしている建物が完了検査を受けていない場合でも、建築当時の建築基準法等に適合しているかの調査・報告を行う事で建築確認申請ができる可能性があります(参考 国交省「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」)。また、リフォーム等で現況と図面が異なり建築基準法違反部分が生じていても、違反部分の是正を行う事で用途変更等が可能になる場合もあります。
しかしながら、調査や図面の復元を行っての適法性の確認には時間と費用がかかってしまいますし、違反状態が是正できなかったり、用途変更後の用途に対して求められる適法性が確保できなかったりした場合、プロジェクトを進めることが困難になることもあり得ます。
そのため、特に物件を借りてテナントとして出店を計画する場合、物件の契約前には、

  • 既存建物の図面や確認申請書、完了検査済証を取得しているか(完了検査を受けているか)
  • 建物の竣工時から現在までの改修等の履歴
  • 変更後の用途に求められる規定を満たすことが可能か

を確認する事をお勧めしています。
物件契約前の相談も受け付けておりますので、こちらからお気軽にお問合わせください。